2019年3月の来日公演は全日SOLDOUT、そしてフジロック2019にも出演が決定したインストバンドKhruanbin(クルアンビン)。
bonoboやFather John Mistyといった大物もレコメンドするこのバンド、僕も最近聴き始めたのですがスルメ感がものすごい。
今回は聴けば聴くほどその世界観に没頭していく不思議な魅力があるバンド、Khruangbinのプロフィールや魅力を紹介します。
Khruangbinのプロフィール
Khruangbin(クルアンビン)はアメリカ・テキサスで結成された3ピースインストバンドです。
メンバーはこちらの3人。
- ローラ・リー(ベース)→紅一点。セクシーさが異常
- マーク・スピアー(ギター)→ロン毛がトレードマーク。テクニカルなプレイング
- ドナルド”DJ”ジョンソン(ドラム) →ピアノも弾いちゃいます
バンド結成までの道のりは意外にも長く、2004年にスピアーとジョンソンが教会のゴスペルバンドで出会ったのが最初のきっかけ。
その後2007年にリーと出会ったスピアーは彼女にベースをするよう薦めます。
2010年にはあのbonoboに見出され、リーとスピアーが彼のツアーに参加。これがきっかけとなり、二人は音楽で生きていくことを真剣に考え始めます。
ツアーから戻った後、スピアーとリーはジョンソンをバンドに誘い、Khruangbinが誕生したそうです。
Khruangbinってどういう意味?
不思議なバンド名をしていますが、実はタイ語で「飛行機」という意味だそう。
結成当初にリーがタイ語を学んでおり、一番好きな言葉として「Khruangbin」を挙げたことが由来となっています。
このバンド名、英語話者でも発音が難しいらしく、しばしば「green bean」(さや豆)と聴き間違えられるとか。スピアー自身も「ここまで有名になると知ってたら、こんなバンド名にしなかったよ(笑)」と述べるほど。まあ確かに。
影響を受けたタイファンクについて
彼らが紹介されるとき、「タイファンクから影響を受けた」という一文をよく見かけます。
この文を見るたびに「タイファンクってなんだよ!」と思う僕。いかんせん聞き慣れない言葉なものでして、ええ。
なので少しばかり、リサーチしてみました。
タイファンク=60~70年代のタイの音楽を再発信
もともとタイには「ルクトゥン」や「モーラム」という伝統的な音楽がありました。 大戦終了後に西洋の文化も取り入れ始め、その様相は少しずつ変化していきます。
ルクトゥンやモーラムのエキゾチックなメロディラインに、ポップスの要素を組み込んだ新しい大衆音楽が1960年代以降に登場し始めたのです。
しかし、年月を経るにつれてそうした音楽も次第に淘汰されてしまい、近年ではタイでも「忘れ去られた音楽」となっていました。
そんなとき、古き良きタイの音楽に目をつけ、かつて愛されたタイの大衆音楽を「タイファンク」として発信し始めた人が登場します。
それがマフト・サイという青年でした。彼はタイの音楽にスポットを当てたクラブイベントを開催するなど、自国の音楽文化を世界的に広めていきます。
そして2000年代後半には、「タイファンク」は世界的なムーブメントを起こしました。取り分けこの年代はEDMが席巻し始めていた頃です。音楽好きな人たちにとってはさぞ新鮮なものに聴こえたことでしょう。
Khruangbinとタイファンク
Khruangbinもタイファンクに大いに影響を受けたことは前述の通り。シンプルなリズムにメロウでエキゾチックなギターと、まろやかなベースを乗せた音楽こそが、このバンドの生命線となったのです。
特に2015年に発表された1stアルバム「The Universe Smiles Upon You」はタイファンクの影響を強く受けたと本人たちも述べています。
ただし、Khruangbinの音楽はタイファンクだけでなく、サイケやソウルといったジャンルの影響も色濃く反映されているのも間違いありません。
結果として、ものすごくボーダレスなジャンルに仕上がっているといった評価を受けています。
Khruangbinの魅力について
さて、そんな彼らの魅力ですが、僕は以下の3点になるかと思っています。
・レトロだけじゃない、多様な音楽性
・聴けば聴くほどハマる、緩やかなグルーブ感
エキゾチックでメロウな異国情緒感じるメロディ
このバンドの最大の特徴といえばもうこれです。エキゾチックなんです。
パクチーやらナンプラーやら、日本でも圧倒的な市民権を得ている食材がありますが、それと同じ。彼らはとにかく異国情緒を感じさせてくれる音を奏でている。
このトリップ感がたまらないんですよね。彼らの曲をどこで聴いても、まるで自分が知らない土地にいるかのように錯覚させてくれる。
どことなくミステリアスで、味わい深さがあるこのバンド・サウンドこそ、彼らの最大の武器といってもいいでしょう。
レトロだけじゃない、多様な音楽性
タイファンクに多大な影響を受けていると前述したものの、時はいまや2010年代です。現代の音楽シーンの様々なエッセンスを曲の中に組み込み、非常に独特なトラックを生み出しているのも彼らの魅力でしょう。
↑の曲「White gloves」はその最たる例。ソウルフルで、なおかつ最小限の音に抑えていて、そこはかとない心地よさに沈んでいける。
2018年に発表された2ndアルバム「Con Todo El Mundo」にはタイファンクだけでなく、中東や東南アジアの音楽まで取り入れたさらに奥深いナンバーが揃っています。
聴けば聴くほどハマる、緩やかなグルーブ感
Khruangbinは決して派手なバンドではありません。ドラムはほぼ遊びを入れないですし、ベースも緩やか。テクニックと空間系のエフェクトを効かせたエロいギターが頭の奥底に少しずつ響いていくような。
なのでポップやロック一辺倒の方には、最初はこのゆるいグルーブ感はあまり馴染めないかもしれないのも事実です。
でも聴けば聴くほどハマっていくんですよね。
オーガニックな音だからこそメロディが活きるというかなんというか。ゆる~いテンポなんですが確かなグルーブ感があって、ふとしたときに頭の中にいつの間にかKhruangbinの曲が流れているっていうような。ほとんど洗脳なんじゃないかと思う中毒性があるんです。
このスルメ感がたまらないんですよ。最初ピンとこなかった人も、2・3周する頃にはハッとさせられるものがきっと見つかるはずです。ギター上手いし。
フジロック2019で来日決定!
そんなKhruangbinですが、2019年3月の初来日ライブは3日間すべてSOLDOUTとなっています。
でも安心してください、フジロック2019で再び来日が決定しました!
大自然に囲まれて聴くこのバンドの曲はほんとたまらないでしょうね。今から楽しみで仕方ありません!
今世界中を虜にしているオーガニックでエキゾチックなバンド・Khruangbin。フジロックに行く方はぜひチェックしてみてはいかがでしょう。
otomonokotoでは、今後も注目のアーティストを国内外問わずレビュー予定です。皆さんのおすすめのアーティストもぜひ教えてください!
コメント