ファンなら知っておきたい! Mr.Childrenの隠れた名曲5選レビュー

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ミスチルの隠れた名曲5選レビュー 邦楽

実はカラオケに行ったら、基本ミスチルしか歌いません。稲生ヒロです。

30代前後の人ならシングル曲はだいたい知っているし、適度にポップで、そこそこに盛り上がる。要はミスチルなら何を歌っても、そう外すことはない。1曲1曲の認知度は浅かろうが、これほど広く世間に知られているバンドというのは、そうホイホイ出てくるものではありません。

僕自身はどうかというと、小学6年のときに聴き始めて以来ずっとファンです。今でこそ色んな音楽を聴くようになりましたが、中学のときはまじでミスチルしか聴いていなかったような子でした。

人生の半分以上をミスチルと過ごしてきた僕ですが、ミスチルの本当の素晴らしさはアルバム曲にあると思うのです。

そうなんです。シングルじゃあまりやらないような実験的な曲もあったり、大胆なフレーズも混ぜ込んでみたりと、実はポップな曲だけじゃなくていろいろと面白いことをやってるバンドなんですよ。

ということで、今回はミスチルの隠れた名曲を紹介します。願わくは、僕がカラオケでちょっとマイナーな曲を歌っても一緒に盛り上がってくれる人が一人でも増えると嬉しいなと。

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やりきれぬラブロマンスを描いた「クラスメイト」

4thアルバム「Atomic heart」に収録された一曲。このアルバム、セールスは驚異の343万枚とミスチル史上最も売れたアルバムです。

そんな名盤なので当時からのファンにはこの曲も馴染み深いことかと思いますが、ライブではめっっっっっっったに演りません。2017年に開かれた結成25周年のスペシャルライブで久しぶりに披露したのですが、このとき実に16年ぶりの演奏となりました。

そんなこの曲、結論から言うと「浮気」がテーマです。それも、久しぶりに再会したクラスメイト(彼氏持ち)との。

3カ月前の再会から 思ってもないような急展開

今じゃもっと彼女に恋をしてもう振り出しに戻れるわけない

「ただのクラスメート」そう呼び合えた あの頃は long time ago

Mr,Children/クラスメイト より

シチュエーションはサビのこの歌詞が表している通りそのまま。それで彼女には付き合っている男がいるもんだから、あまり人目につかないように3時にランチに出かけたり、後ろめたい気持ちもあったりと、90年代のJ-POPにしては珍しく男の方がナヨナヨしている。

もうじき来る君のBirthday 迷わず僕だけを選んで

ごめんよいつも困らすばかりで しばらくは彼の話はやめとこう

Mr,Children/クラスメイト より

というか、めちゃめちゃピュアじゃないですか? もっと、こう、浮気なんだからドロドロした描写を入れてくれよ!って思うほどに。

この絶妙な関係性がドストライクでして。彼女の方はどうなのか知らないけど男の方はもう君無しじゃ生きられないくらいの依存度。道徳的にはあまりよろしくないテーマではありますが、あくまでもピュアな恋を描いているというのが琴線にフェザータッチしてくるわけなのです。

「マディソン郡の橋」っていう映画が好きな人はこの良さを分かってくれるはず。妙齢の男女の浮気を描いた作品なんですが、あれが好きな人なんかはこの曲も気に入ってくれるかと。

あと、もはや無かったことになってますが、桜井さんも浮気してましたからね。そのあたりのバックグラウンドも相まって妙に身近な歌に感じられるわけです。

ミスチル史上指折りのダークネス「Bird Cage」

たまに思い出したかのように暗い曲をぶっこんでくるミスチルの中でも、この曲は非常に暗い部類に入ります。

演奏時間6分33秒の内3/4ほどは静かにゆるやかに進行していくのですが、サビで思いの丈が大爆発する。聴いていただければ意味が分かるかと思います。

テーマは「恋の終わり」。もう終わりも終わり、別れる寸前のカップルの心境を「鳥かご」をモチーフにしながら重く、重く、重く歌ってます。

間抜けな神様が僕らをつがいで飼おうとして 狭い鳥籠に入れたらなら今頃

絵に描いたような幸せが訪れていたのかなぁ? 発狂しないで僕ら暮らしていたかなぁ?

Mr.Chilren/Bird Cage より

どんだけ追い込まれてるんだよと。

これがいろんな角度から君の顔を見てきてそのどれもが素晴らしくて愛を思い知ったり、365日の君に捧げる愛の詩を歌ったりしてきた人間が書く歌詞なのかと。

十人寄れば気は十色と申しますが、恋に酔った人間から恋に希望を見いだせない人間まで一人で表現しちゃうあたりは桜井さんの才能ありきなのかもしれません。

収録アルバムが「IT’S A WONDERFUL WORLD」というのも皮肉っぽいですよね。アルバムの中で1つだけ異彩を放ってますもん、この曲。

隠れた至高のラブソング「つよがり」

この曲、なぜシングルカットされなかったのかが謎で仕方がありません。

「つよがり」は9thアルバム「Q」、初期のベストアルバム「Mr.Children 1996-2000」(通称:血)に収録されたピアノバラードです。

凛と構えたその姿勢には古傷が見え 重い荷物を持つ手にもつよがりを知る

笑っていても僕にはわかってるんだよ

見えない壁が君のハートに立ちはだかってるのを

Mr.Children/つよがり より

開口一番、こんなフレーズから始まるこの1曲。彼女の方が「つよがり」なのかと思えるのですが、2番以降にはこんな歌詞も出てきます。

着かず離れずが恋の術でも 傍にいたいのよ

いつ君が電話くれてもいいようになってる

Mr.Children/つよがり より

たまにはちょっと自信に満ちた声で君の名を叫んでみんだ

あせらなくていいさ一歩ずつ僕の傍においでよ

そしていつか僕と真直ぐに向き合ってよ 抱き合ってよ

早く 強く あるがままで 強がりも捨てて

Mr.Children/つよがり より

この辺はまあ、解釈の自由もあるかと思うのですが、個人的には彼女が「つよがり」と見せかけて、男の方が「つよがり」なんじゃないかと思うんです。

彼女にはきっと何かしらのトラウマがあって、男はそれを「僕にはわかってるんだよ」と知った気でいるんでしょうが、それすらも男の独善的なよがりなのかもしれません。

ただ愛してほしいという自分の思い。彼女の「つよがり」を楯にすることで、自分の弱さを隠しているのかもしれませんね。

これってたぶん多くの男が抱えていることでもあるんじゃないかと思ってます。その弱さを上手く代弁してくれているのが、この曲にファンが多い理由なのでしょう。僕含め。

泣きのメロディも相まって、聴くたびにじんと来てしまう。そんな一曲なのです。

大人の色気漂うムーディなバラード「Heavenly Kiss」

18thシングル「口笛」のカップリング曲。カップリングナンバーだけを収録したベスト盤「B-SIDE」にも収録されています。

「口笛」はこれから始まろうとしている恋や、あるいは今幸せ真っ只中のカップルの様子を歌った曲なのに対して、「Heavenly Kiss」は倦怠期の最中にある恋人・夫婦のことを歌っています。

ただ、さきほど紹介した「Bird Cage」のように恋の終わりを描くのではなく、ふとした瞬間にまた愛情が蘇ってくるんだと、ハッピーな結末で終わる「大人のラブソング」なのです。

先週から続いてる 妙にすれ違ってる 鈍感な俺にだって分かるさ

オープンテラスのテーブル 食事中の会話も弾んでない

Mr.Children/Heavenly Kissより

俺が傲慢になったか?君が怠慢になったか? そんな事もうどうだっていいや

Mr.Children/Heavenly Kissより

ブラスやワウペダルを取り入れてジャジーな雰囲気で終始進行していくのですが、大サビに入る前まではもうこのままだめになっちゃうんじゃないか、ってくらいの鬱蒼とした物語になっています。

が、大サビ直前のこのフレーズ。

もういっぱいビール飲むか? 赤くなったっていいじゃない
たまにゃ理性をすてんのもいいぞ
化けの皮を剥いだ 君を愛せるのはそう俺ぐらいなもんさ

Mr.Children/Heavenly Kiss より

死ぬ前に一度は言ってみてぇ…!

「ここは俺に任せて先に行け!」と並んで言ってみたいセリフ。この一言のあと、なんだかんだ愛情が蘇ってハッピーエンドで終わりますしこの曲。

ファンの間でも別れの曲とも捉えられがちなのですが、桜井さん自身がライブのMCで「ラブソング」「愛情の深さが蘇る」と言っています。

冒頭のMCで言ってますね

ミスチル史上2番目に長い曲「I’ll be(album ver.)」

その長さ、9分11秒。2019年4月時点でミスチル史上2番目に長い曲となっています。(1番長いのは「雨のち晴れ(Remix)」の9分36秒)

そんな「I’ll be」は7thアルバム「DISCOVERY」に収録。桜井さん曰く、迷走していた時期のアルバムでもあります。

この曲はサッカー選手・名波浩さんのために作った曲としてファンの間では有名。後にシングルカットもされましたが売上は30万枚と、ミスチルのシングルの中では全く振るわなかった1枚となってしまいました。

ただ、桜井さん本人も「自信がある曲」と珍しく言ったことがあり、一時期はライブでも比較的演奏されていた曲です。

不甲斐ない自分に銃口を突き付けろ 当たり障りない道を選ぶくらいなら

全部放り出して コンプレックさえもいわばモチベーション

人生はいつもQ&Aだ 永遠に続いてく禅問答

そしていつの日か僕もDead Dead Dead I’ll be back

Mr.Children/I’ll beより

「DISCOVERY」は全体的に重々しい雰囲気のアルバムなのですが、その中にあってこの曲は一筋の光のような希望を感じられるナンバーとなっています。

シングルバージョンは爽やかなロックになっていますが、個人的にはアルバムバージョンの方が好きです。落ち込んだときに聴くと元気をもらえたり、背中を押してくれるような曲なんですよね。

まとめ:ミスチルの魅力はアルバム曲にある

キャリアもいつの間にやら25年を超え、それでいてなお多くの人に愛されるバンドというのはそう多くはありません。

2010年代においてはロートルと言われても仕方がないという印象も持たれがちですが、今回紹介したように色々なテイストの曲もたしかに存在しています。

そしてポップ一辺倒になった原因である小林武史のプロデュースとも縁を切った今、また新たな一面を見せてくれる日もそう遠くはないでしょう。

今回の記事をきっかけに一人でも多く、ミスチルのアルバム曲を聴いてくれる人が増えると嬉しいな。以上、稲生ヒロでした!

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