【レビュー】FKJ – 美メロで魅せるニュー・フレンチ・ハウスのパイオニア

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FKJレビュー 洋楽

サマソニ2019に出演が決定したタッシュ・スルタナと同じく、僕が楽しみにしているアーティストの一人。それこそがFKJ(French Kiwi Juice)です。

彼は数々のサイトで「ニュー・フレンチ・ハウス」というジャンルを築いた先駆者として評されています。

フレンチ・ハウスといえば70年代~80年代のダンスミュージックにテクノやファンク、エレクトロの要素を加え発展してきたジャンルです。ダフト・パンクCassiusの成功を筆頭に、世界的に大成したジャンルとして語られます。

FKJは、そんなフレンチ・ハウスをもう1つ先の段階に進化させた初めてのアーティストなのかもしれません。

ということで今回は、サマソニ2019にも出演が決定したFKJの魅力・特徴を解説します。

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FKJ(French Kiwi Juice)のプロフィール

FKJはフランス・トゥール生まれの27歳。2013年に「 Time For A Change」でレコードデビューした後、サウンドクラウド上で様々な楽曲のリミックスやオリジナル音源を発表し、早耳のリスナーの間では才能あふれる若手として注目を浴びていました。

主にDJ/プロデューサーとして活動を続けていた彼ですが、2017年にセルフタイトルアルバム「French Kiwi Juice」をリリース。同年には世界最大級のフェス「コーチェラ」など様々なフェスに出演し、一気に注目を浴びることとなります。

数々の楽器を1人で演奏するマルチプレイヤー

僕がタッシュ・スルタナと並びFKJを好きな理由のひとつがこれ。彼は一人でありとあらゆる楽器を演奏し、作曲・演奏を行うマルチインストゥルメンタリストなのです。

これに関しては実際に見ていただいた方が早いと思うので、FKJの即興一人セッション動画をば。

FKJ Live – Improvisation (EM Sessions)

即興でここまで組み立てちゃうって半端ないですよね。

FKJはAbleton Liveというソフトを使って演奏を行っています。これはあらかじめ仕込んだオケを再生したり、演奏したフレーズを録音して繰り返し再生したりできる代物です。

前もってオケを仕込んでおくという点では純粋なジャムセッションとは異なるかもしれませんが、それを差し置いても有り余る編曲能力と演奏力のレベルの高さがそこかしこからにじみ出ています。これぞFKJの魅力でしょう。

1人で演奏するようになった理由について

FKJは7歳のときにサックスに触れ、12歳で作曲のためにギターを始めました。その後、どんどん他の音も重ねてみたいと思ったことをきっかけに、独学でキーボードやベースなどを学んでいきます

当時聴いていた音楽について彼はこう語っています。

ボサノヴァやジャマイカミュージック、ジャズなどジャンルは問わずずっと音楽に対してオープンな姿勢でいるので、すべての音楽からインスピレーションを受けて作曲ができるんだ。

http://www.billboard-japan.com/special/detail/2104 より引用

10代のころにはバンドを組んだこともあったのですが、そのときにはすでに、彼の中には「自分だけの音楽」のジャンルが確立されつつありました。様々な音楽に影響を受けた結果、一人で曲を完結した方が自分の個性を発揮できると気づき、以後バンドは組んでいません。

もちろんライブでもこのスタイルは変わらず、7種類以上の楽器をたった一人で演奏し、トラックを重ねながら曲を展開していきます。

FKJ live @ Salar de Uyuni for Cercle
ウユニ塩湖でのライブ映像。この動画を紹介することが本記事の最大の目的だったりする

メロウで緩やか、そして柔らかい。心地よい美メロに酔いしれる

プロフィール、演奏スタイルと紹介してきたので、サウンドプロダクションにも触れておきたいと思います。

が、↑の動画で聴いていただいた方はお分かりになるかと思います。すごく感覚的な言い方になってしまって申し訳ないのですが、メロウで緩やか、そして柔らかい音が特徴でしょう。

1拍をゆったりと使う、レイドバックしたメロディに、R&Bやヒップホップのエッセンスも取り入れ、聴いていて非常に心地よいメロディラインを生み出すのが彼の最たる持ち味です。

この音作りは彼の音楽的バックグラウンドによるものであることは否めません。

日本並にガラパゴス的な音楽シーンを形成しているフランスで生まれ育ち、ジャズやボサノバなどあらゆる音楽に青年期から触れてきた彼。

アコースティックなルーツを持ちながらも、一人で演奏をするというスタイルを取る以上、DTMを駆使したデジタルなサウンドも要となってきます。

フランスが生んだハウス文化をベースにしながら、他ジャンルのエッセンスも積極的に取り入れた結果、FKJはフレンチ・ハウスの新たな可能性を築き上げたのです。

さらにDJとして培ってきたアレンジ、ミキシングのスキルや、ハイレベルなプレイングも加わり、ニュー・フレンチ・ハウスのパイオニアとして評価されるに至ったのではないかと思っています。

FKJのおすすめ曲3選

FKJソロとしてのアルバムはまだ1枚しか出していないので、すんなり手がつけやすいのも嬉しいところ。今回はその中でもおすすめの3曲を紹介します。

甘美なムード漂う代表曲「Lying Together」

FKJ – Lying Together

最初期に発表され、Chance the RapperのSave Money Crewのとしても知られるラッパー・Towkioがビートジャックしたことで一気に火がついたFKJの代表曲です。

サウンドクラウドでも圧倒的再生回数を誇り、FKJの名が知られるようになった要因の一つでもあります。

緩やかなビートに乗せて甘く鳴り響くシンセとギター。この曲をかけるだけで一気にオシャレな雰囲気を演出できるので、パーティシーンにおすすめでございます。

Masegoをフィーチャリングしたナンバー「Tadow」

Fkj & Masego – Tadow

トラップハウス・ジャズと自称する新たなシーンを生んだMasegoをフィーチャリングした「Tadow」。いわばオシャレとオシャレの掛け算

エロいサックスパートがたまらないですよね。延々と続くギターリフに積み重ねていく音もとことん洗練されていて、何度でも言ってしまうのですが聴いていて本当に心地良いのです。

FKJの魅力が詰まった「Go Back Home」

FKJ – Go Back Home

FKJの曲の中では比較的R&B色が強いのですが、きっちりとハウスっぽい要素を入れたり、どこかファンクネスなベースラインが聴けたりとFKJの強みが凝縮された一曲です。

冒頭で紹介したウユニ塩湖でのライブでも7:15あたりからこの曲を演奏していますが、マジで最高過ぎるのでぜひご覧ください。

まとめ:サマソニ2019でも必聴のアーティスト

以上、フランスのマルチインストゥルメンタリスト・FKJのレビューでした。

昨年TAICOCLUBでも来日していたのですが、どのライブレポを見ても要約すると「最高」の2文字にまとめられるほど圧倒的なパフォーマンスを繰り広げたようです。

今年は8/18(日)にサマソニ2019(東京のみ出演)で来日が決定しています。昨年TAICOCLUBで見逃した方も、今ハマっている方も必見のアーティストかと思いますので、要チェックを!

そしてFKJが好きな方にはぜひタッシュ・スルタナもオススメしたいので、こちらの記事もぜひチェックしてみてください。

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