【レビュー】Empire Of The Sun – オーストラリアが生んだ異端のエレクトロデュオ

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Empire Of The Sunレビュー 洋楽

世界的人気を誇るTame Impala。その元ベーシスト、ニック・アルブルック率いるPOND。結成9年にして12枚のフルアルバムをリリースしているKing Gizzard and the Lizard Wizard。サマソニ2019にも出演が決定したPsychedelic Porn Crumpets

今、オーストラリアのサイケロック&ポップバンドがとにかく熱いです。

オーストラリアは大戦後に急速に発展を遂げた国。世界中の文化が入り混じった「文化のるつぼ」の代名詞のようなバックグラウンドを持っています。

それは音楽においても同じで、米英とはひと味違ったアーティストが多いのがオーストラリアの特徴でしょう。特に2000年代以降は音楽シーンも著しく成長し、上記で挙げたように、世界的なアーティストも数多く輩出しています。

今回紹介するEmpire Of The Sun(エンパイア・オブ・ザ・サン)も、オーストラリアのサイケ、エレクトロバンドです。彼らの楽曲はYoutubeで1億近く再生されているものも多く、世界的人気を獲得したバンドの一つに数えても異論はないでしょう。

ですが、なぜか日本ではあまり話を聞くことがない彼ら。少なくとも僕の周りにはあまり知っている人がいない・・・!

そこで今回の記事では、オーストラリアの異端児ともいえる彼らの魅力に迫ります。さぁ、あなたも帝国民になりましょう!

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Empire Of The Sunのプロフィール

オーストラリアの音楽シーンを牽引する二人が結成

Empire Of The Sun(エンパイア・オブ・ザ・サン)はルーク・スティールニック・リトルモア が2007年に結成したデュオです。エレクトロをベースに、サイケ、ロックなど多彩なエッセンスを取り入れています。

ルークはオーストラリアのサイケバンド・The Sleepy Jacksonのフロントマン、ニックはエレクトロダンス・ミュージックデュオ・Pnauでも活動をしています。

オーストラリアの音楽シーンを牽引するミュージシャンによるタッグ。さぞ素晴らしい楽曲を世に送り出しているのでしょう・・・と言う前に、まずは2人の御姿をご覧ください。

出典:Empire Of The Sun公式サイト

どうですか、この香ばしい風貌。

Slipknotのようにゴアなホラーでもないし、MAYHEMみたいなマジの悪でもない。ただあまり関わっちゃいけないなっていう雰囲気はびんびんに感じられますよね。「見ちゃいけません!」的な何かを。

いつの時代のSF作品から抜け出してきたかのような奇抜なファッションが目を引く彼らですが、実はこれ、バンドのコンセプトに関わる重要な要素にもなっています。

Empire Of The Sunの物語とは

彼らの活動には明確なストーリーが設定されています。強烈なファッションもこれに由来しているわけなのです。(以下、読み飛ばしても問題ないです)

かつて、この世は純粋であった。その清らかさは皇帝、そして侯爵が保っていたのだ。毎日、空に昇る太陽の動きを計画し、川の流れを山頂から導き、荒れ狂う火を雨で沈めた。 

野生動物の精神をもつ4人の司祭者に助けられ、休むことなく世界中を駆け巡り、自然の繊細なバランスを維持し、万物の反映を促していた。皇帝の王冠の一番上に飾られた神聖な宝石の助けを常に借りていたのだ… 

しかし、ある夜皇帝が仕事の疲れを癒し、寝ている間に真の闇が訪れた。皇帝のかつてないほどの天敵、“影の王”が皇帝の神殿に忍び、皇帝の王冠の宝石を盗んだのだ。すると世界のすべてが変わった。

力のほとんどを奪われ、皇帝と侯爵はどうすることもなく神殿がバラバラに壊れ、司祭者たちがはるか遠くに追い払われゆくのを目にした。

しかし全て失われたように見えたその瞬間でさえ、影の王の黒い心が想像できえぬことがあった..皇帝と侯爵は希望を捨てなかったのだ。

https://www.universal-music.co.jp/empire-of-the-sun/story/ より

なんのこっちゃという感じですが、要するに彼らは終焉を迎えた世界に平和を取り戻すために音楽活動をしているわけです。星新一のショートショートかしら。

ゆえにMVもストーリー性が非常に強く、強烈でファンタジックなものに仕上がっています。

そして彼らの楽曲もまた、コンセプトと違わぬものばかり。あまりにもユニークな風貌とドリーミーな音が調和し、中毒性が半端ないことになっています。

ドリーミーでサイケ。異世界へトリップさせてくれる音楽

「世界の終わりを迎えた後のサイケデリックな体験」というコンセプトは、楽曲にも色濃く反映されています。

一聴すると、どこかレトロなディスコナンバー。ただし古臭さを感じさせること無く、ドリーミーできらびやかなサウンドプロダクションが彼らの持ち味です。

しかも、これだけ独特な世界観をキープしながら、出す曲出す曲ことごとくキャッチー。アメリカの音楽メディア・SPIN「キマりたいならMDMAやLSD といった麻薬ではなく、エンパイア・オブ・ザ・サンのショウをみることだ」とまで豪語しています。

Empire Of The Sunおすすめの曲3選

とにもかくにも聴いてみないことには始まりませんので、おすすめの曲を3つご紹介。

1stアルバムより「Breakdown」&「Swordfish Hotkiss Night」

Empire of the Sun – Eclipse Broadcast
このMVの1曲目が「Breakdown」、2曲目が「Swordfish Hotkiss Night」

やばくないですかこの世界観?

このMVで「あ、好きだわ」ってなった方。あなたはもう立派な帝国民です。

2009年に発表された1stアルバム「Walking On A Dream」に収録されているこちらの曲。シングルカットされていないナンバーなのでややマイナーなのですが、逆にレベルの高さが伺えますよね。

謎の楽器演奏隊もさることながら、脇で踊り狂うカジキマグロが印象的。ライブでもこのまんまやっちゃいます。そのインパクトが功を奏し(?)、某掲示板ではEmpire Of The Sunは「カジキ」と呼ばれ親しまれています。

ちなみに冒頭はYou Galileeeeeoooo!!! と聴こえますがYou Gotta let upです。

2ndアルバムのリード曲「Alive」

Empire Of The Sun – Alive (Official Video)
代表曲のひとつ「Alive」

先ほど引用した「世界を平和にするための活動」は1stアルバムで完結したのではないか。

そう思われていた節もあるのですが、それから4年後の2013年、2ndアルバム「Ice On The Dune」を突如リリース。

「俺たちはまだ世界平和のために戦っているんだぜ」と言わんがばかりのカムバック。そんな彼らの生き様を象徴したのがこの曲「Alive」です。

強烈に個性的なMVは、さっきのストーリーを熟読してもなお「なんだこれは!」という不思議な感覚を覚えざるを得ないわけでして。

4つ打ちゆえに耳に残りやすいというのもあると思うのですが、ビジュアルが拍車をかけて強烈な印象を残してくれるのです。

ダサさと格好良さの紙一重を攻める「Celebrate」

Empire Of The Sun – Celebrate (Official Audio)

突然のハングル語カラオケに動揺を隠しきれなかったのですが、お腹いっぱいになるくらいシンセを取り入れたキラキラのメロディにやられました。

たぶん他のアーティストがこの音の使い方をすると「ダサい」って思ってしまいそうなんですよ。.彼らだからこそ許される格好良さというか。ダサさと格好良さの紙一重を攻めている感じがありますよね。

MVがMUSEの「Panic Station」と似てるのは、たぶん気の所為でしょう。

ライブはもはや一大エンターテイメントショー

さきほど少し触れましたが、彼らはライブでもその世界観を崩すこと無く、僕たちを異世界へと導いてくれます。

Empire Of The Sun – Celebrate (Live At The Sydney Opera House)

こんなの絶対盛り上がるじゃん!

奇抜な格好をしたダンサーが踊り狂うステージ。そのど真ん中で歌う皇帝。かっこよすぎないですか?

衣装やセットはライブごとに変更していて、大きめの箱ではもはやミュージカルを見せられているように錯覚するほどです。

あ、もちろんカジキマグロも登場します。

気になる来日予定は?

実は2017年の「ULTRA JAPAN」に出演しています。ライブステージのトリを務めたのですが、それ以来、来日予定はないようです。

2019年2月にニューシングル「Chrysails」が発表されたこともありますし、今年はライブも積極的に動いているようではあります。今後の動向に注目したいところですね。

まとめ:キマりたい人は今すぐチェックを

近年様々なアーティストを輩出しているオーストラリアの中でも、ひときわ異彩を放つEmpire Of The Sunを紹介しました。

何度も申し上げたとおり、ものすごく独特の世界観を持っていますが、楽曲は意外にもキャッチーなものが多いのも魅力です。

中毒性抜群の彼ら。ぜひ周りの人にも薦めまくって帝国民を増やしましょう。

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